列車の利用がストレスになることもあります。プラットフォームの混雑や列車の遅延、正しいチケットを所持しているかなど、考慮するべきことがたくさんあります。
障がい者の列車利用はさらに複雑です。チケット購入や駅構内の移動に加え、介助の必要な人も多く、例えば、傾斜スロープ、介助犬や車椅子用のスペースなど、適切な介助を乗り継ぎの路線ごとに予約する必要もあります。
そこで、Transreportのパッセンジャーアシスタンス (Passenger Assistance) が交通機関による移動介助の予約プロセスを一新します。複雑なプロセスだった介助の予約が、当社のモバイルアプリで一瞬のうちに可能になりました。さらに、新登場したパッセンジャーアシスタンスのウェブ版アプリで、モバイルアプリがなくてもウェブサイトから介助予約ができるようになりました。
携帯アプリが世界の基本になる一方、ウェブサイトと違ってアクセシビリティ基準のない携帯アプリでは、使用できない方や操作できない方もいます。例えば、手先の動きが限られる方など、運動機能障がいのある方には、デスクトップが使いやすいのです。また、ウェブ版アプリなら介護者や介助士にも予約が支援できるというメリットもあります。
さらにウェブ版アプリは、障がいや神経多様性によるニーズがあり、金銭的な制約のためにテクノロジー利用が難しい方の支援にも役立ちます。デジタルライフラインのインパクト評価で報告されたように、障がい者の15%はインターネットを一度も利用したことがありません。
パッセンジャーアシスタンスのウェブ版アプリは、アクセシビリティのニーズが異なる広い範囲の障がい者の洞察とフィードバックに基づいて設計されたものです。
Transreportは、創業者のジェイ・シェン(当時、英ウォーリック大学の学生)と障がい者の乗客が話し合ったことをきっかけに、2016年に創業しました。わずか数分間の会話の中で、その人が交通機関を利用するたびに直面する困難や不安を知ったジェイは、目が開かれる思いでした。
次の週末、ジェイは自宅でパッセンジャーアシスタンスのアプリのプロトタイプをコーディングしました。その後の数週間で、「アクセシビリティ委員会」を設立したチームは、障がい者や高齢者のユーザーの体験談に基づいてアプリを洗練していったのです。
噂はすぐ広がり、間もなくあらゆる場所からアイデアや提案が流れ込んで来ました。開発が進むにつれ、例えば文字サイズや配色のバリエーションなど、さまざまなアクセシビリティ機能を追加し、音声全面対応の互換性も持たせました。その後Transreportは、英国レール・デリバリー・グループ(旧列車運行会社協会)と共働を開始しました。自社のソリューションを拡張し、このテクノロジーを英国のすべての列車運行会社に水平展開する準備を整えたのです
パッセンジャーアシスタンスのダウンロードは3万件を超え、Apple社からアクセシビリティ基準の承認を得て、著名な運動選手や障がい問題活動家のユーザーも増えてきました。同社は最近、BlackFinch、Praeturaの両ベンチャーキャピタルから出資を得て、全世界への拡大をサポートされています。
Transreport創業者のジェイ・シェンは、次のようにコメントしました。
「英国でパッセンジャーアシスタンスを立ち上げて以来、アプリユーザーの素晴らしい体験談をたくさん受け取っています。自由に交通機関を利用して家族を訪ねたり、休日を楽しんだり、通勤したりする人々で、それを初めて体験した方もたくさんいます。多くの人にとっては当たり前のことに過ぎない交通利用でも、障がい者コミュニティには複雑な問題や不安が一杯です。
そこでTransreportの目的は、全世界のすべての人が快適に、楽々と交通機関を利用できるようにすることなのです。当社の最新テクノロジー、パッセンジャーアシスタンスのウェブ版アプリは、障がい者や高齢者が交通機関を利用してもっと自由を楽しむ機会をさらに拡大します。
人が障がい者になるのは、その人の心身の不自由や違いではなく、その人を取り巻く世界のバリアが原因だ、という社会モデルを私たちは信じています。そこで、当社のモバイルアプリと新しいウェブ版アプリで、そのバリアをさらに大きな規模で打ち破っていきたいと考えているのです。」